全国高校サッカー選手権は101回目の大会となりました。
今大会は、次の100回へ向けてた最初の大会ということもあり、テーマに「1∞(ネクスト100)」を掲げた未来へ向かった重要な大会となっています。
ここでは、様々な切り口で捉えて記念すべき今大会について書いていきたいと思います。
決勝戦は岡山学芸館高校が見事、後半に2点を決めて突き放し、岡山県勢初優勝を成し遂げました。おめでとうございます。見事な戦いぶりでした。
今回は、これまでの最高成績がベスト16の岡山学芸館高校が優勝した秘密について徹底分析していきます。
“優勝!!!”
📣決勝
🆚#東山
🏟#国立競技場
前半1-1
後半2-0
合計3-1岡山県勢初の全国高校サッカー選手権にて、優勝しました!本当に沢山のご声援ありがとうございました!#高校サッカー #岡山学芸館 #岡山学芸館サッカー部 #サッカー #football #soccer pic.twitter.com/Mk0MbewdN8
— 【公式】岡山学芸館高校サッカー部 (@gakugeikanfoot) January 9, 2023
Contents
優勝するために必要な2つ力とは
スポーツは何でもそうだと思いますが、心技体の力や運といったあらゆるものが揃っていないとビッグトーナメントは勝てないということは前提です。
心と体のスペシャリストの招聘
今年度の岡山学芸館高校は、心と体を強化するべきある2人の人物を呼びました。
技術や戦術といったいわゆるサッカーの指導は高原良明監督が自信を持ってやってきましたが、心と体に関する部分は2人に力を借りました。
昨年度の選手権全国大会2回戦高川学園戦で前半先制するも逆転負けした試合でフィジカル的な部分の差を感じたこと。心の部分は、自分より指導できる恩師の存在があったことがきっかけです。
前者は、WAFA鍼灸整骨院長の長瀬亮昌トレーナーを招聘し、後者は高校サッカーの名伯楽であり、高原監督の高校時代の恩師でもある平清孝ゼネラルアドバイザーを招聘しました。
選手権コラム
32年越しの“リベンジ” 選手権初優勝に導いた金言の背景https://t.co/11FZl5E29a編集部より
「川端暁彦さん(@gorou_chang)のコラム。優勝した岡山学芸館には“優しいおじいちゃん”平清孝GAの存在がありました。選手権を知る平GAと選手たちの間に準決勝前、あった出来事とは」 pic.twitter.com/YVclP8QLVq— サッカーキング (@SoccerKingJP) January 10, 2023
ここでは、夏場以降に大きく伸びたと言われている体に関することについて触れていきたいと思います。
優勝するために必要な2つ力とは
何だかんだ言って走れないと勝てない
1つ目は「走力」
12日間で6試合!6試合=480分=8時間!これが、岡山学芸館高校と東山高校が戦ってきたプレー時間です。そして、決勝でのあの強度の高いゲームを80分やり通す。まずは、走れないと今大会は勝ち抜けないということですね。
また、技術やフィジカルの部分は年々高くなっていることから、大会を通して接戦のゲームが多かったです。それは、PK戦が47試合中11試合(23.4%⇒約4試合に1試合がPK戦)とデータが物語っている。
決勝戦は見ごたえがある素晴らしい試合だったが、PK戦ではなく90分で決着がついたことに少しほっとしている。
何かPK戦を超える画期的な勝敗を決する方法は無いものか。
接戦ということは、メンバーを温存することや途中で流すといったことが出来ないということ。ピッチに立っている限りは、最高の強度で戦わないと次の試合で戦う権利が無くなってしまう。
走ることの議論を嫌がる人もいますが、要するにまずは、走れないと今大会は勝ち抜けないということですね。ただし、この走力は厳しい地区大会を勝ち抜いた多くの出場校は持ち合わせているのかなと思います。
速く、止まる。そして、また速く。
2つ目は「フィジカル能力」
フィジカル能力といっても幅広いが、岡山学芸館が取り組んだものは筋肥大と瞬発系のトレーニングです。
最低、週2回の全身トレーニング、補食も含めた1日5食を継続した結果、夏以降に力強さが表出してきたそうです。
もちろん、体はトレードオフ(何か鍛えれば、どこかの能力が落ちる)の関係性がある部分もあるので、長瀬亮昌トレーナーの指導の下で科学的に取り組んだ。まずは、直近5年で全国4強入りしたチームの比体重を算出してチームの目標にした。
同時に20mスプリントに取り組み、「速く、止まって、また速く」と動けるように重いだけの体にならないようにもした。
サッカーにおいては、フィジカルと連動して雑になることなく、しっかりボールを大事にするスタイルを貫きながら、速く攻め込むサッカーも出来るようにしていった。
フィジカルを強化はポゼッションを向上
20mという距離を強い体で素早く動くことで、サッカーとして大きなメリットがある。
それはボールポゼッションを向上することに直結する。
ここであるデータを紹介する
【ボールポゼッション】
カタールW杯 日本(22%) ドイツ (65%)
カタールW杯 日本(16%) スペイン(74%)
※メディアによって多少の違いあり
足すと100%にならない。理由は、今大会のワールドカップから、「保持」と「非保持」と「中立」という数値をFIFAが作り計測しているからです。
簡単にいうと、ルーズボールはどちらのポゼッションでも無いということにしています。「中立」は大体1試合で、約10%程度になるそうです。
詳しくは下記で。有料部分もありますが、無料部分だけでも楽しめます。
その10%をどうするかは、非常に大切です。全て回収出来ればポゼッション率が10%向上して、その分を自分達が攻める権利、相手を走らせる権利を得られるのですからね。
だから、
短距離を素早く動いてボールに先に触るスピード
距離が短い分、先に触れても触れられても、体がぶつかる場面が多いため倒れない強い体
が必要なんです。
走力は大会全体を通してマクロな視点で、フィジカルはルーズボールなどを拾い自分たちの攻撃を増やすためのミクロな視点で科学的に絶対的に必要なものなのです。
その能力を科学的な指導で向上させられる方を招聘した岡山学芸館高校は為すべきして為したといっても良いと思います。
トレーナー長瀬亮昌という
【 #高校サッカー 】岡山学芸館・長瀬亮昌トレーナーのサポートで筋肉増量が優勝のアシストに https://t.co/593HBWzki5 #サッカー #soccer #football pic.twitter.com/EmsmlI8HDo
— スポーツ報知 (@SportsHochi) January 9, 2023
岡山県出身で現在は兵庫でWAFA鍼灸整骨院の代表をしています。
学生時代は野球が大好きで、高校まで野球一筋でやっていたそうです。
高校野球を引退して、高校に専属トレーナーがいたこともあって、スポーツに携わる仕事がしたいと思い専門学校に進学しています。
そこで、合格率が約10%のアスレティックトレーナーの資格を取得し数年修行後に24歳で独立しています。
その後は多くのプロ選手や大学等と契約して活動していましたが、2015年に一般の方や学生達の力にもなりたいと想い、WAFA鍼灸整骨院を設立したそうです。
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想像ですが、そういった思いや地元岡山に対する恩返しの気持ちもあって、岡山学芸館高校に携わっているのでしょうね。
こうやってプロのトレーナーが部活動に関わることがあると、高校生も勇気をもらえますね。また、近年は部活動改革も進み、外部指導員制度もあるので兼職や転職をして指導現場を持つなど、これまでより選手も指導者もより多くの人と触れ合う機会があり刺激が多くある環境は良いですね。
こういった、プロトレーナーが計画・提供するトレーニングが優勝への大きな要因となっていることは間違いないでしょう。
そして、それをやり続けた岡山学芸館高校サッカー部も凄いです!