全国高校サッカー選手権は101回目の大会となりました。
今大会は、次の100回へ向けてた最初の大会ということもあり、テーマに「1∞(ネクスト100)」を掲げた未来へ向かった重要な大会となっています。
ここでは、様々な切り口で捉えて記念すべき今大会について書いていきたいと思います。
大会もベスト8まで出揃い、どの学校も力のある選手を揃える実力校ばかり。
その中でも、昨年2年生中心ながら絶対王者「青森山田」を唯一苦しめた「京都東山高校」を徹底解説していきたいと思います。
今回は、日本代表鎌田大地選手の出身高校である京都東山高校に注目していきます。
引用元:サッカーダイジェスト
チーム情報
東山高校は、京都市左京区にある私立中高一貫の男子校です。
コースは簡単に言うと、普通クラスと特進クラスとスポーツクラスに分かれているようです。部活動は全体的に強く、卓球部やバスケットボール部は全国でもトップクラスの実力校です。有名人は、バスケ選手や野球選手を多く輩出しています。
その中でも、鎌田選手の知名度が抜群にありますね!また、お笑いコンビTIMのレッド吉田さんも卒業生で、高校時代は甲子園に出場しています。
現在は、関西プリンスリーグ2部に所属していて2022シーズンは、2位(13勝3分2敗)で見事に来季は1部昇格を決めています。
全国大会でも優勝を狙えるチームが関西で2部に所属しているとは驚きですね。
関西のレベルの高さが伺えます。
リーグの仕組みは、
- プレミアリーグ(EASTとWestに分かれる)⇒
- プリンスリーグ(全国9地域に分かれる)⇒
- プリンスリーグ(都道府県リーグ)
に分かれるので、関西2部は実質J3のようなカテゴリーです。
引用元:東山高校HPより
ちなみに、鎌田選手の高校3年時はプレミアリーグWestに所属して開幕戦は鎌田選手の決勝点で勝利しましたが、
最下位でプレミアリーグ降格となり、そこからプレミアリーグには復帰していません。
歴代最強東山イレブン
昨年は、絶対王者青森山田と唯一互角の戦いをしたといっても過言では無い戦いをしました。
昨年のあのピッチには2年生が6人と半数以上が今年のメンバーとして残っています。
レギュラーの半分以上があの強度や悔しさをピッチで経験したことは相当大きいアドバンテージとなっていますね。
さらに、今年はインターハイも京都予選も34得点0失点と圧倒的な強さで府予選を勝ち抜き、全国大会に出場しています。
インターハイでは惜しくも3回戦で矢板中央にPKで敗れましたが、2回戦では北信越の雄の帝京長岡に4-1で圧勝しています。
出場している全国大会の経験値は、大会出場校で1番あるかもしれませんね。
ちなみに、今年から始まった第1回U18青森ユースサッカーフェスティバルでは、強豪校がいる中勝ち抜き、初代王者になっています。
東山高校は、堅実な守備からスピードのある攻撃を展開することをモットーにしているチームですが、
今年のチームはそれに加え全員が立ち位置を考え、相手に合わせてボールの置き所を変えられる技術があると敵将が認めています。
公式戦の経験値や長くプレーしてきたお互いを分かりあっているコンビネーション、明確なチームのコンセプト、それに加えた確かな技術。
引用元:フットボールゾーン
決勝までの戦い
今大会は東山高校新谷陸斗主将の選手宣誓で始まりました。
昨年敗れた1月4日と同じ日に歴代東山最強イレブンが史上初全国4強に進出!
国立で初優勝を目指して戦いに臨みます。
是非始まりも終わりも東山だったと言わせる今大会にしてください。
1回戦 vs星稜(1-0:1-1 2-1)
2回戦 vs聖和学園(0-0:4-0 4-0)
3回戦 vs高川学園(1-0:1:0 2-0)
準々決勝 vs日体大柏(0-0:0-0 0-0 PK4-3)
準決勝 vs日体大柏(0-1:1-0 1-1 PK4-2)
三度の飯よりサッカーが。福重良一監督!
福重良一監督。元プロ選手で、初芝橋本高校や大阪体育大学で指導した後に現在東山高校のサッカー部で監督を務めている。
堅実な守備から攻撃をコンセプトに、全員が積極的かつ果敢にプレーできることを目指しています。
監督にとってサッカーは寝ることを犠牲にしても関わりたいもので、三度の飯より大好きなものだそうです。
この学校には選手は上手くなるために来ているので、選手が上手く強く変われるのであれば、「好かれなくても良い」と考えています。
選手には怖い監督として映っていることが多いみたいですが、本当は選手のことを一番に考え、情に厚い先生です。
昔、鎌田選手が
「1・2年のときは嫌いでしたが、3年でキャプテンになり話すことが多くなると、こんなに自分達のことを考えてくれていて感謝している。この人を胴上げしたい」
と話しています。
とにかく、選手を上手くしてあげたく、その為にやるべきことを粘り強くやり続けることが信念であり、意識しているそうです。
鎌田大地が高校時代に身につけた2つのもの
鎌田選手は愛媛県出身ですが、中学校はガンバ大阪ジュニアユースに所属していました。
中学1年で家を出て大阪の親族の家から数時間かけてガンバ大阪ジュニアユースの練習に通うほどサッカーにはストイックに打ち込むことができます。
ガンバ大阪ジュニアユースでは、中1や中3で骨折したり、身長が3年間で25センチ程急速に伸びることによりクラムジー陥ったり、ケガが多い時期でした。
また、同学年には井手口選手や下には堂安選手といった当時から天才と言われている逸材がいたこともあり、ユースに上がることは叶いませんでした。
当時のジュニアユースでは、サッカーセンスは抜群にあるが、球際などフィジカル的な部分で物足りないという評価でした。
こういった状況の中、父の大学時代の1つ下後輩である福良監督が「ハードワークは高校の日常で身につけさせる。サッカーセンスは教えることができない」と絶賛し、東山高校へ進学することになりました。
引用元:京都新聞
入学前の体験練習では「思ったよりうまいですね」と言ったり、自分が納得しないことには取り組まなかったり、悪く言えば自己中心的な部分がありました。
高校1年時からレギュラーとして活躍して、選手権京都府予選の決勝で大きな転機が訪れました。
至近距離のシュートを外し全国への切符を逃しました。責められると思ったら、先輩から「これからはお前が引っ張っていけ」と激励を受けたそうです。
高校1年時にはサッカーを辞めようと思ったこともあったそうですが、この出来事から人間的に変わって、サッカーに対するモチベーションもより湧いてきたそうです。ちなみに、この試合の日に、自ら頭を丸刈りにしています。
このミスをきっかけに、ラストパスに美学を感じていたタイプだったが、ゴールに対する意識が大きく向上し2年生ではプリンス関西で18試合22ゴールの得点王でチームをプレミアリーグに導いています。
この頃に、今のプレースタイルが築かれたといっても良いかもしれませんね。
また、自らキャプテンに志願したり、周囲の仲間を辞めそうなときも「一緒に頑張ろう」と声をかけたり、仲間のために他者のために貢献する行動や言動ができるようになり、人間的な部分で大きく成長したようです。
このプレースタイルと人間性の部分を高校で身につけ、高卒で鳥栖に入団し、フランクフルトでの活躍は誰もが知っている通りです。
そんな鎌田選手の後輩達が、鎌田選手も成し遂げることができなかった、全国制覇を目指して戦っています。